Book
reminiscences 〜 思い出話 〜
一年の汚れを一気に落とすための、大掃除を始めたからだ。
今、私とシロウは普段は使われておらず、物置代わりになっている部屋を掃除している。昼間にも拘わらず、辺りにうずたかく積まれた荷物や家具などのせいで、部屋の中は薄暗いほどだ。この家の年期を感じる。
sister in law War
夜、私はいつものように自室のベッドに横になり、目を閉じていた。既に長い時間が経過している。普段なら、もうとっくに眠りに落ちているはずだ。しかし、今日に限って眠気は一向に訪れる気配がなかった。
既に夏が過ぎて秋になり、寝苦しい夜も少なくなってきた。少し前までは、まだ扇風機を全開にしても額に汗が浮かぶくらいの残暑だったのに、最近では空気が肌寒く思える夜さえある。耳を澄ませば、庭で微かに鈴虫が泣いているのが聞こえてくる。室温は低く、さらに少しだけ開けた窓からは、しっとりとした冷たい風が入ってきて、頬を撫でる。
イリヤスフィールの日記帳
――そうだった。イリヤスフィール・フォン・アインツベルンの身は、その時、英国にあった。英国の首都、倫敦。オリンピック開催も決まり、急ピッチで大小様々な開発が行われる活気ある都市に、私達は住んでいた。
